2023年度 体験談01
Summer programに参加されたきっかけを教えてください。
ICPSRサマープログラムに参加したきっかけは、先輩からの強い推薦がありました。彼らはこのプログラムが基礎的な統計学的知識から高度な計量分析手法まで幅広くカバーしており、大学のカリキュラムでは網羅されていない貴重な知識を得られる機会だと説明してくれました。特に、ICPSRの長い歴史と60周年を迎えた今年のプログラムは、より充実したカリキュラム設計と計量分析能力の向上を目指す学生にとって、貴重な機会となるという点で興味を引かれました。そのため、私も研究に必要なスキルを身につけたいという思いから、このプログラムへの参加を決めました。
受講したセッション、コース名を教えてください。
セッション2(2023/7/15-8/6)。コースから「Panel Data and Longitudinal Analysis」、「Multilevel Models II:Advanced Topics」、「Causal Inference for the Social Sciences II」、と「Time Series Analysis II: Advanced Topics」を登録し、「Panel Data and Longitudinal Analysis」、「Multilevel Models II:Advanced Topics」を対⾯で受講しました。
受講前の準備について、受講までの間にどのような準備を行ったか教えてください。
シラバスの確認と準備: ICPSRサマープログラムのウェブサイトや提供された資料を活用して、各コースのシラバスを事前に確認しました。どのコースが自分の興味や学習目標に最も合っているかを把握するために、詳細なリサーチを行いました。 メンターとの相談の準備: プログラムの初日に、メンターとの初回面談があり、そのために自分の学習目標や疑問点、興味のある分野について整理しました。メンターからのアドバイスを受けて、最適なコースを選択する準備をしました。 TAとのコミュニケーション: コース初日からTAと積極的にコミュニケーションを取るための戦略を考えました。質問する内容やコミュニケーションのスタイルを考え、TAと良好な関係を築くことで授業の理解を深める準備をしました。
講義内容について、授業の進め方やクラスの規模、授業の難易度について教えてください。
Panel Data and Longitudinal Analysis パネルデータに現れるunit heterogenityとspatio-temporal dependence問題に対して、これらの問題の存在をどのように検証するのかという方法と解決⽅法、または⽋損値(missing data)、不完備パネルデータ(unbalanced panel data)などの問題をどのように処理するかについて説明しています。
コースの前半では、線型代数の基礎知識を⽤いて、unit heterogenityとspatio-temporal dependenceの成因と影響を理論的に分析します。そして、これらの問題の検出⽅法と解決⽅法について、先⽣は異なる⽅法の理論と特徴、異なるパネルデータに対してどの⽅法を使⽤するかについてわかりやすく解説しました。ラボセクションも設置され、stataとRで様々な⽅法を実演しました。RまたはStataしか使った経験がなくても授業の理解や課題の完成に⽀障がありません。ただし、⼀部の⽅法ではRまたはStataのパッケージしかないため、活⽤できるように、事前にRとstataの基礎知識を身につけておくことをお勧めします。
このコースはレベルの⾼い計量分析⼿法も含んでおり、短いプログラムの間で、検定⽅法の原理を十分に理解できないこともありますが、講義動画が提供されますので、プログラムが終わった後、空いている時間を利⽤して、理解を深めることもできます。このコースのgrade letterを得るには、7回の課題(assignment)を完成する必要があります。
コースで学んだ計量⼿法の原理は複雑ですが、課題に⼊っているのはほぼプログラミングに関わり、ラボセクションで配布されたコードサンプルをよく理解し、⾃分で実演してみれば課題をうまく完成できます。しかもTAの採点は正誤で判断せず、提出すれば満点です。また、TAから課題ごとに細かいフィードバックをもらえ、どこが間違っているのか、どのように修正するのかなどを指摘してもらえます。ただの受講より、課題をやってみると、コースの内容をより深く理解し、活⽤できます。Multilevel Models II:Advanced Topics 社会科学専攻者向けであり、政経分野の学⽣たちには難しいかもしれません。授業ではchecklistという⾮常に役⽴つツールを教えてもらいました。研究を進める時、多くの場合は計量⼿法で問題を解決するのではなく、リサーチをデザインする時に、時間空間の依存性、オーバーフロー効果など様々な問題を考えなければいけません。先⽣が私たちにchecklistの使い⽅を詳しく解説して、リサーチデザインを考える時、どのような問題を考えるべきかについて熱⼼に教えていただきました。
最後のtake-home(持ち帰り)examも、checklistを活⽤した研究も評価の焦点となりました。 Causal Inference for the Social Sciences II このコースは政経分野でよく使われる計量⼿法に近い、授業ではRD、DIDなどの運⽤と因果推論ためのmachine learningについて説明してくれました。すべての内容を受講していなかったが、私が受けた授業内容によると、このコースは統計学の基礎知識で計量⽅法の原理を紹介することを重視し、理論部分を詳しく紹介し、ラボセクションはやや短いです。このコースは少し難しいですが、好評が多く、実証研究をしている学⽣にとっては役⽴ちます。難易度が⼼配なら、プログラムが終わってから動画配信で勉強するのもよいかと思います。
プログラム期間中の学習について、予習や復習、課題の取り組み方について教えてください。
毎週末に出される課題には、平日毎日時間を割いて取り組みました。同じ授業を受ける学生たちとは、授業後にしばしば集まって学習グループを形成しました。お互いに学んだ内容を共有し、理解が不十分な部分を助け合いました。また、分からない点がある場合には、積極的にTAに質問をしました。TAは親切に質問に答えてくれるため、疑問点をクリアにする大きな助けとなりました。
プログラム期間中の授業以外の活動について、他の参加者との交流やイベントについて教えてください。
プログラムの初日に開催されるこのイベントは、参加者が互いに知り合う良い機会です。また。3回目の土曜日には、近くの公園でケータリング付きのレクリエーション会が行われます。受講生間で自然発生的に組織される活動も多く、一緒に食事をしたり、地元のバーとレストランに出かけたりしています。
現地での生活について、宿泊場所の確保、食事の調達、身の回りの生活品の買い物などについて、困ったことやおすすめの情報があれば、教えてください。
ミシガン大学の学生から夏の間だけ部屋を借りるサブリースは一般的で、法的にも許可されています。このオプションは家賃が比較的安く、空間が広いため、快適に過ごせます。また、ほとんどの物件にキッチンが付いているため、自炊が可能です。サブリースの物件情報は、大学の掲示板やオンラインフォーラム、学生グループなどで見つけることができます。 キッチン付きの宿泊場所を利用する場合、自炊はコストを抑える良い方法です。基本的な食材は近所のTargetで購入可能ですが、より広い品揃えと安価な価格を求める場合は、バスでMeijerというスーパーに行く価値があります。MeijerはTargetよりも品揃えが豊富で価格も安いため、野菜、果物、肉類などを購入するのに適しています。週に一度、まとめ買いをして食材をストックする計画を立てると便利です。
Summer program参加の感想について、印象に残ったこと、プログラムを通じて得られたこと、あなたの研究やキャリアに活かされたことがあれば、教えてください。
ICPSRプログラムは、計量分析、因果推論、パネルデータ分析など、社会科学研究に必要な多岐にわたる手法を提供しています。ICPSRで学んだ手法を活用して、私自身の研究に新たな計量的アプローチを取り入れることができ、研究内容がより洗練されました。また、新しい研究テーマの発見にもつながり、学術的なキャリアにおいて重要なステップとなりました。多くの友達ができたことも大きな収穫です。彼らとの継続的な関係を築けるのは、研究だけでなく、個人的な成長にも寄与しています。また、彼らからのアドバイスや励ましが、研究を進める上でのモチベーション向上に繋がりました。
参加を検討されている方、参加を迷われている方にアドバイスやメッセージをお願い致します。
ICPSRサマープログラムは、学術的なスキルの向上はもちろんのこと、個人的な成長や国際的な視野を広げる絶好の機会でした。この経験は、今後の研究やキャリアにおいて、大きな糧となります。